あなたは、正しい残業代をもらえていますか?

残業代請求毎月の給料明細を見て、残業代が正しく計算されているか、確認したことがありますか?
そもそも残業代の正しい計算方法を知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は残業代の計算方法を確認したいと思います。

残業代の求め方の計算式は、以下のとおりです。

残業代=時間単価×残業した時間×割増率

そのため、残業代を計算するには、

  • 1 時間単価
  • 2 残業した時間 を計算し、
  • 3 割増率を確認する必要があります。

1 時間単価を計算する

では、月給制を前提に、時間単価の計算方法を確認してみましょう。

時間単価は、以下の計算式で求められます。

時間単価=月によって定められた賃金÷月平均所定労働時間

・月によって定められた賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、住宅手当、子女教育手当、臨時の手当(結婚手当、出産手当など)は、原則含まれません。
(支給形態によっては、例外的に、含まれる場合もありますので、詳しくは、弁護士にご相談ください。)
・月平均所定労働時間は、下記①②ステップにより、計算された年間所定労働時間数を12で割ることで、求められます。

  • ①年間所定労働日数を計算する。
    これは、365日(1年の日数)-年間所定休日日数で計算できます。
    ※ 閏年は、366日として計算
  • ②年間所定労働時間数を計算する。
    これは、①で計算された年間所定労働日数×1日の所定労働時間数で計算できます。

2 残業した時間を計算する

次に、残業した時間を計算してみましょう。

残業した時間は、以下の計算式で求められます。

残業時間=実労働時間-所定労働時間

実労働時間は、労働契約、就業規則等の定めにより、形式的に決まるものではありません。
使用者が労働時間として認めたがらない準備時間や待機時間(手待ち時間)も実労働時間と判断される可能性があります!
また、30分以下の残業は残業代を支払わないという扱いをしている使用者も多いですが、法律上は、あくまでも残業代は1分単位で発生します!

実労働時間を立証するものは、タイムカード、シフト表、入退館記録、パソコンのログイン・ログアウト時間、電子メールの送信時刻、タコグラフ、帰宅時のタクシーの領収書、労働者の日記、家族の日記等さまざまなものが考えられますので、詳しくは、弁護士にご相談ください。

3 割増率を確認する

割増率については、表にまとめましたので、ご覧ください。

法定内残業(1日8時間以内かつ週40時以内) 午前5時から午後10時 割増しなし ※1
午後10時から午前5時(深夜) 25%割増し
法定外残業(1日8時間を超える又は週40時間を超える)※2 午前5時から午後10時 25%割増し
午後10時から午前5時(深夜) 50%(25%+25%)割増し
法定外残業(月60時間を超える部分)※3 午前5時から午後10時 50%割増し
午後10時から午前5時(深夜) 75%(50%+25%)割増し
休日労働 午前5時から午後10時 35%割増し
午後10時から午前5時(深夜) 60%(35%+25%)割増し
  • ※1 就業規則において、法定内残業であっても、割増賃金を支払うと規定されている場合もあります。
  • ※2 常時9人以下の労働者を使用する飲食店や接客業、保健衛生業、医療機関などは、1週の法定労働時間が特別に44時間とされています(労働基準法施行規則25条の2)
  • ※3 月60時間を越える場合の50%割増しについては、当面の間の経過措置として、資本金の額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については5000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業者及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者に対しては100人)以下である事業については、適用されません(労働基準法附則138条)

以上、残業代の計算方法を説明しましたが、少し複雑だな、よくわからないなと感じた方もいると思います。また、今回は、月給制を前提にしていましたが、時給制や日給制では、計算方法が少し異なります。
残業代請求については、初回を無料相談とさせていただいておりますので、詳しくは、弁護士までご相談ください。

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