残業代等請求権の消滅時効と受任後の対処方法
残業代請求権の消滅時効

残業代の請求はいつまでもできるわけではなく、時効というものが存在します。残業代は「賃金」の一種であり、2020年4月1日以降に発生した賃金債権は、これを行使できるときから5年で時効消滅すると規定されています(労働基準法115条)。もっとも、経過措置として当分の間は3年とされているため(附則143条3項)、現時点では行使できるときから3年間分が請求できることとなります。
※ 残業代請求権の時効期間は、改正法施行後5年を経過した時点の状況を踏まえて再度検討することとされています。今後は、残業代請求権の時効期間が5年に延長される可能性があります。
では、どのようにして残業代請求権は時効消滅するのでしょうか。具体的に考えてみましょう。たとえば、「毎月の給料を、翌月25日に支払う」会社であれば、令和〇年1月分の残業代(を含む「賃金」。以下同じ)は同年2月25日に、同年2月分の残業代は同年3月25日に、それぞれ、支払を請求できる(=行使できる)ことになります。
退職金請求権の消滅時効
退職金の請求にも時効が存在します。もっとも、退職金の請求は、さきほどの残業代とは異なり、経過措置からは除外されているため、「行使できる時」から「5年間」が経過することにより、時効消滅します(労働基準法115条)。
残業代の時効消滅を防ぐ方法は?(受任後の対処方法)
残業代請求権は、3年間の経過により時効消滅します。さきほどの例からすると、毎月の支払日を経過するたびに、過去の残業代請求権が消滅してしまうこととなります。そこで、法は、①裁判上の請求等(民法147条1項1号、同条2項)を行い確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときや、②強制執行等(民法148条1項1号、同条2項)が終了したとき、③承認(民法152条1項)したときには、時効が更新(リセット)されるとしており、残業代請求権の時効消滅を防ぐことができます。もっとも、裁判所に訴えを提起するためには、相応の準備期間が必要ですから、当該準備期間中にも、毎月分の給料は、刻一刻と時効消滅していくことになります。また、裁判をせずに、まずは交渉で残業代を請求したいという方もいらっしゃいます。
そこで、実務上は、裁判等を行う前にまず「催告」(民法153条)を行い、「6ヶ月」の間、消滅時効の完成が猶予されます。そこから6ヶ月以内に裁判を行う等の方法により、できる限り多くの残業代を請求することが、一般的です。具体的には、残業代請求事件を受任した弁護士は、まず、残業代を請求すべき相手方に対して、内容証明郵便等による通知を行い、これと並行して、裁判等の準備にかかります。当事務所では、残業代請求に関する多くのノウハウを有しており、内容証明郵便の作成や、その後の通知、裁判等の準備などを、迅速に行うことができます。残業代請求については、初回相談無料でお受けしておりますので、是非、お気軽に、当事務所までご相談ください。

